「第23回地域と世界がつながるフォーラムinしまね」
を開催しました。
「市民と政府のTPP全国実行委員会」とつながるメンバーが各地域の持ち回りで開催する「地域と世界がつながるフォーラム(旧WTO/FTA NGOフォーラム)」を2016年8月27日・28日に島根県浜田市で開催した。参加者は22名。特に都市部からの参加者に島根での地域活動について情報提供する機会となり、また島根県からの参加者には地域(地方)までグローバル化が迫っているというメッセージを届けることができた。
<1日目>2016年8月27日(土)
1日目は、島根県西部等での地域活動やそれと関連する問題について「学ぶ」機会。
◆全体会
フォーラムの導入として、講演「グローバル競争に振り回されない穏豊社会をもとめて」というタイトルで、泉京・垂井の神田浩史さんにお話ししていただいた。神田さんはこのフォーラムの元々の立役者であり、その後も尽力されている。これまでの海外や国内での長い地道な取り組みから導かれた、資源の消費のされ方やその影響など、地球全体の課題を確認するお話が出、地域で資源を循環させる「穏豊な社会」の提案がなされた。
その後、「地域の様子を知る」というテーマに移り、「島根県西部の現状について」として、島根県職員の松井健さんにお話しいただいた。イメージの問題や西部の状況を数字等交えての内容で、人口などとらえ方によってはマイナスイメージとなるが、逆に視点を変えてプラスイメージとしてとらえる見方は、島根県西部だからこそいえる一人一人の「人」の重要性を表すものであった。
次に「まちづくりトークセッション」と題して、地域活動に取り組むNPOスタッフ同士での対談を行った。てごねっと石見の盆子原照晶さんと泉京・垂井の河合良太さんを招き、お互いのNPOの紹介をしながら、これまでの成果、そして今後を考えるにおいての課題や困っていることをざっくばらんな感じで議論してもらった。コーディネーターは、フォーラムのスタッフでもあり、島根県立大学の廣井修平さん。
その後、「しまねの地域づくり活動紹介」として、「浜田での大学生活」をてごねっとサークルの徳竹千春さんに、長野での経験そして浜田での大学生としての地域活動を話してもらった。次に「地方におけるICTコミュニティの可能性」と題してe-Frontの佐々木大輔さんのお話があり、活動を進めている「いわみICT協議会(通称:いわみくと)」は、会社の仕事としてでなく自主的に関わっていること、そして地方こそICTの知識が必要だということを話していただいた。
締めくくりの講演では、「グローバル化のもとでの地域づくりのために、いま知っておきたいこと」というタイトルで、京都大学大学院生の平賀緑さんからお話をいただいた。地球規模の課題を抱えるようになった原因について、「食と農」という切り口から、時には歴史を紐解きながら、金融の仕組みなど構造的な問題を明らかにしていただいた。
◆懇親会・宿泊 夢の音村(ゆめのねむら) 森の公民館
参加者間の懇親会の前に、島根県立大学浜田キャンパスの神楽サークル「舞濱社中」さんに石見神楽をご公演いただいた。多くの参加者から圧倒された、感動したとの感想があった。こうした伝統芸能が県の各所で受け継がれ、若い層にも浸透している。このように市民レベルで継承された地域の貴重な財産を堪能できた。また舞ってくれた学生さんは、石見地方の出身だけでなく松江とか広島とか幅の広いことも、参加者の関心を生んだ。
<2日目>2016年8月28日(日)
2日目は、フィールドワークを中心に実際を見聞きし、体験する機会。
◆朝食
宿泊先である「夢の音村(ゆめのねむら) 森の公民館」では自炊も可能であるため、朝食は自分たちで作った。島根県産の食品を使うことに重点をおき「イカごはん」「みそ汁」「たまご焼き」「赤天」を自炊し食べた。
◆夢の音村(ゆめのねむら)の紹介
宿泊先である「夢の音村(ゆめのねむら) 森の公民館」の紹介を社会教育主事であり、夢の音村の設立の中心メンバーである河野文影さんから伺った。
最初は、音楽をしたい若者が立ち上げ建設していき、徐々に認知されるようになっていった経緯、また今年「オーライ!ニッポン大賞」のグランプリに選ばれたこと、また浜田市金城町としては、島村抱月のゆかりの地として整備しつつあること等をお話いただいた。
◆各地域の活動共有
また、フィールドワーク出発前には、参加者それぞれの地域での活動や取り組み、考えていることなどを共有し、フォーラムの意義と今後のへのつながりを参加者で考えた。
◆フィールドワーク
新たな観光資源として注目される広浜鉄道今福線(未成線の遺構)を巡った。ここ数年の間で、観光向けの整備(案内板の設置や足下の整備など)がされてきているようだ。
その後、浜田中心街に戻り、地元・紺屋町商店街での買い物と見学をした。酒屋さん・乾物屋さん・ふとん屋さんで、お話も聞かせてもらった。特に商店街の女性ががんばって今の状況があるというお話が印象的だった。
続いて紺屋町から移動し、古民家をリノベートしてシェアオフィス・シェアハウスとして利用している「さきや」を見学した。ダウン症の子どもに絵をかいてもらえるスペースを提供しているアトリエ等、興味深い活動をされている方のお話を聞いた。